シュールな光景 29  息を吹き返えさせるのは誰か

予約していた「自民党という絶望」が届きました。何人かの著者による様々な視点での話がまとめられている本ですが、私はイデオロギーとしがらみでねじれている政党間の境界線には興味はなく、統一教会の情報を知りたいために購入しました。

 

その中で「息を吹き返す」(p.54~55)という言葉に、ほんと世の中にはそういう場面が多いなと思いながら読みました。

 

 1990年代初頭には、衆参両院に約200人の「勝共推進議員」と呼ばれる議員がいたとされています。その後、東西冷戦の終結により勝共連合の存在意義が薄れ、関係を絶つ議員も一時的に増えましたが、2012年に第二次安倍政権が発足した頃から、再び勝共連合とその関連団体が息を吹き返すようになるのです。

 

時代の流れの中で風前の灯火(ともしび)だったはずなのに油を注ぐ流れがあるのは、どの業界も似ているかもしれませんね。

 

最近のマスクについてのトンチンカンな方針も、「息を吹かえさせる何かがあった」と思いました。ええ、あくまでも直感なのですけれど。

 

昨年12月ごろだったでしょうか、なぜかテレビで萩生田政調会長と永岡文部科学大臣(*)が面会をしている様子がニュースになっていました。

「子どもたちのマスクを外させてほしい」という陳情だったようです。

ニュースではその場にいた全員がマスクを外して和やかに話している映像がありました。

 

同じ頃、これから第8波という状況に戦々恐々としているのに、なぜこの人たちはどういうツテがあると「マスクをはずさせて」という内容で国会議員さんと面会できてニュースにまでしてもらえるのだろうと不思議でした。

 

 

*記憶が蘇る*

 

そのうち、その陳情の中心的な人が「自然なお産」とか「代替療法」とかで一時よく目にしていた人だったこととつながりました。

世の中にはこういうことを記憶していて、地道に観察して記録に残しておいてくれる方々がいらっしゃるのでそのおかげですね。

 

2000年代に助産師の世界で広がっていったそういう雰囲気も、2010年代には憑き物が落ちるように話が聞かれなくなった頃に、世の中では不安からというよりは陰謀論的な流れから我が子にワクチンを打たせないとか、K2シロップを飲ませない、絶対に薬は使わないといった方向へと変化していく人たちの流れができてしまいました。

臨床でもいまだに時々出会うタイプの方です。

自分の考えを絶対に譲らないので、私たちは何事もないようにとお産が終わることや新生児が無事に育つことを祈るしかありません。

まあ、元は一部の助産師もそれを担いでしまったという暗黒史がこういう時代を作ってしまったのだと思いますが。

 

 

お子さんが大きくなるにつれて、ますます信念を強めていらっしゃるのでしょうか。

久しぶりにそのブログを読んでみました。

私の全ての経験が今の私を作っているので、私の過去の全てが私にとっては正しかったこと。

そしてこれからも《何があっても だから良かった》の精神で生きたいと思います。

2016年ごろに書かれた言葉でしょうか。

 

こうした方々もいつか、自己実現とか自己啓発が広がった中で「母になる」時代であったあるいは「母になること」がファッションになる危うさに自分が影響を受けていた、そしてそれがどのように社会に影響を与えてしまったかまで認められるようになるでしょうか。

それはほんと冷や汗が出て、赤面どころか罪悪感に苛まれることになるのですが。

 

思い込みと妄想にリスクマネージメントという言葉は通用しないので、なかなか手強そうですけどね。

 

 

 

*陳情できたのはしがらみ、そして何かの息を吹き返させてしまった*

 

そうかこの人だから国会議員に会いに行けたのかと理解できました。

元国会議員の娘さんで、議員秘書までしていたようです。

 

さて、自民党新型コロナウイルス感染症対策本部長は、その頃久しぶりにニュースに登場しました。

山際氏、「脱マスク」議論に意欲=自民コロナ本部1ヶ月半ぶり開催

 

 自民党新型コロナウイルス感染症対策本部長の山際大志郎前経済再生担当相は20日、同本部会合であいさつし「マスクの扱いをどうしていくか、議論を進めていかなくてはいけない」と述べ、「脱マスク」に向けた議論の活発化に意欲を示した。

 屋外でのマスク着用に関し、厚生労働省は原則不要としているが、着用者が多いのが現状。山際氏は「『中高生の子どもたちは一度も同級生の素顔を見たことがないまま卒業するのか』という話も届いている」と語った。

(時事メディカル、2022年12月20日)(強調は引用者による)

 

その1ヶ月半ほど前に党役員職就任については「『もはや喜劇』『ブラックジョーク』早々の復職に炎上」(2022年11月2日、日刊スポーツ)まで書かれていたのですが、その人の息を吹き返させてしまったのは誰なのか。

 

 

本業で鳥インフルエンザに対応させるのならまだ辻褄が合いそうなのに、こんな思い込みでヒトの感染症に対応させるとは、ほんと政界とその周辺って魔物がいっぱいいる世界でシュールですね。

 

 

 

*2023年2月2日訂正*

テレビでの映像の記憶だけだったので(*)の箇所は最初「山際元大臣とやはり統一教会との関係で問題になった議員さん」と書いていましたが、その場面が残っていないか検索したところ「萩生田政調会長と永岡文部科学大臣」でした。訂正いたします。

思い込みで書き込んではいけないですね。申し訳ありません。

ただ、「陳情」を受ける立場の二人もマスクを外して会話している写真でした。昨年12月中ばのようでした。

 

 

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