シュールな光景 35 「20代から30代の女性が半減し」

4月24日、人口戦略会議とかいうところが言い出した「消滅可能性自治体」のニュースがありました。

その日は各局、かまびすしくこの「人口戦略会議」の話題を報道していました。

 

有識者グループ「人口戦略会議」は、国立社会保障・人口問題研究所の推計をもとに20代から30代の女性の数、「若年女性人口」の減少率を市区町村ごとに分析しました。

2050年までの30年間で、若年女性人口が半数以下になる自治体は全体の4割に当たる744あり、これらの自治体は、その後、人口が減少し、最終的に消滅する可能性があるとしています。

(「"消滅する可能性がある”744自治体全体の4割に 人口戦略会議」(NHK、ニュース深掘り、2024年4月24日)

 

 

人口の伸縮がどれくらいが適正なのかは時代によっても違うでしょうし、それによって当然自治体数も変化するのに、その数よりは生まれてきた一人一人が大事にされ、充実した人生を送れるかどうかがまず優先されるべきだと、今までの「棄民」のような時代の反省を思い浮かべました。

 

ところが、ニュースの中で「若い女性に住んでもらうように」「子育てしやすいように公園や駅前のマンションを確保する」とか、果ては「生理ナプキンを無料で配る」といったことを「消滅自治体」にならないためにしているということが伝えられていました。

 

「それじゃあないのに」

せっかく「女性は結婚して25歳までに第一子」というくびきから自由になったのに、体のいい「嫁確保」の政策なのかと驚きました。

古臭い話ですよね。できるだけ政治の話に感情的に反応しないようにと思ったのですが、なんだかさすがに「腐臭漂う嫌悪感」さえ感じる古臭さでした。

 

家庭を持ちたい、子どもを育てたい、仕事も続けたい、でも女性というだけで仕事が限られ、給与が下げられ生涯賃金も年金も低く抑えられたり、女性というだけで存在そのものの価値が低くされたくない。

あるいは女性というだけで自由に歩くこともできない場所よりは、安全な場所で生活したいし、男女ともに結婚して子どもを育てるのに信頼に値する相手なのかどうか本当に賭けのような状況も多いですからね。

 

ナプキンを無料にという動きはここ数年でネットで見かけたけれど、それさえ購入できない「女性の貧困」の状況があるのであればそれはまた別の問題

 

 

 

*なぜ休止している民間の会議体が突然ニュースになるのか*

 

と、悶々と考えているうちに「人口戦略会議」とは政府のどういう部門なのだろうと検索してみました。

 

「人口戦略会議、wiki」で検索するとなぜか日本創成会議に直結していて、「民間の会議体」「2016年より活動を休止している」とあります。

 

それがなぜ今、と不思議に思ったら首相官邸のサイトに「人口戦略シンポジウム 岸田総理ビデオメッセージ」がありました。

 内閣総理大臣岸田文雄です。

 本日は「人口戦略シンポジウム」が盛大に開催されましたことを、心からお慶(よろこ)び申し上げます。

 本日、地方自治体の持続可能性分析レポートが公表されました。

 10年前の日本創成会議による896もの消滅可能性がある自治体のリストの公表が与えた衝撃は、今でも忘れていません。

 その後、政府は、まち・ひと・しごと創生本部を設置し、10年にわたり、地方創生の取組を進め、岸田政権発足後は、さらにデジタル田園都市国家構想に取りくみました。

(以下、略)

 

10年前に衝撃を受けて取り組んだというわりには、「なぜ20代から30代の女性が半減することが問題なのか」には全く触れられていませんでした。

まあ、「まち・ひと・しごと」とあえてひらがな書きの文学的表現「骨太」とか「背骨」とかかっこ付きの政策が多い政府の方向性ですからね。

 

人口が少ないだけで見捨てられそうな地域も、実際に歩いてみるとむしろ数十年の変化はものともしない堅実な生活があるようにも見えます。

 

もっと人口が少ない時から原野を開墾し集落をつくり、そして人口が余剰になると女性は売られたり男女ともに出稼ぎに行ったり、そして政府からも「子どもは2人まで」と奨励され、葛藤しながら人口を調節してきた時代の記憶がまだまだ残り続けているのに、新たに「労働力」「産むため」「介護のため」といった目的のために人を増やそうとする政策に、本当に国のことをわかっていないのだと思いました。

 

 

 

シュールですね。

最近は「人口問題」を語る人たちが、「人売り」と「人買い」に見えてきました。

 

 

 

*おまけ*

 

お隣の国の一人っ子政策では、女児は闇に葬られていたことを思い出しました。

あな恐ろしや。

 

やはり「人口問題」を切り口にするのは怖いですね。

 

 

 

 

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