こんな米騒動のまっただなかに農林水産大臣を任命されるのは責任が重そうですね。
「農は国の基なり」と言い切ったので、どんな方向性を持っているのだろうと、発言がすぐに炎上モードになっても様子見の段階です。
国造りの長い歴史が各地に記録されている農業を束ねている省ですからね。
*「稼ぐ農林水産業」、「海外市場を見据えた農林水産業」*
先日、鹿児島の茶畑を視察して「稼ぐ農林水産業」へ意見交換をしたというニュースに、ちょっと黄色信号が灯りました。
ただでさえ今度は抹茶バブルで、日本人なのにお茶や抹茶に手が届かなくなっていますからね。
鈴木大臣が鹿児島視察「稼ぐ農林水産業」へ意見交換 輸出を推進する生産現場を確認
(2026年1月9日、FNNプライムオンライン)
鈴木徳和農林水産大臣が1月6日から鹿児島県入りし、県内各地の生産現場を精力的に視察した。茶畑から養殖場まで、鹿児島の特色ある農林水産業の現場を訪れ、特に海外輸出に取り組む生産者との意見交換に力を入れた。
霧島市の茶畑で先進的取り組みを視察
鈴木大臣が最初に訪れたのは霧島市牧園町の茶畑にある施設。ここでは地元生産者から先進的な取り組みについて説明を受けた。
視察先のヘンタ製茶では、北米やヨーロッパなど10カ国以上に茶を輸出している。鈴木大臣は特に有機栽培や海外輸出の手法について関心を示し、具体的な商談の進め方について質問を投げかけた。
「どういう商売のやりとりをするのか」と鈴木大臣が尋ねると、同社の邉田考一社長は「(海外の方は)周りの山林を見る。農薬が飛んでこないかを見る」と回答。海外バイヤーが日本茶の安全性に高い関心を持っていることを説明した。
茶畑の視察後、鈴木大臣は垂水市にも足を運び、水産加工場とカンパチの養殖場の2ヵ所を視察した。
カンパチの養殖場では漁船で沖に向かい、漁協関係者と輸出について意見交換を行った。
日本の水産物の海外展開についても議論が交わされたとみられる。
鹿児島の食肉加工施設で総括
夕方には鹿児島市内の食肉加工施設を訪問。一日の視察を終えた鈴木大臣は報道陣に対し、鹿児島の印象を次のように語った。
「農林水産業で稼ぐということを一番意識して、外に向かってチャレンジしているのが鹿児島県だと思う。これから国全体で後押しして日本の農林水産業が稼げるよう取り組みたい」
鹿児島県は茶や水産物など多様な農林水産物の生産が盛んで、各産地では海外市場の開拓に向けた取り組みが進められている。鈴木大臣の視察を通じて、地方の生産現場の声を政策に反映させるとともに、海外市場を見据えた農林水産業の発展に向けた取り組みが加速することが期待される。
*今は「日本で作られた物を国民が安定して食べられる」ことが優先では*
昨年10月22日の大臣就任記者会見の発言を読み返してみました。
やはりまず、食料安全保障、これを考えたときに、最も大事なのはやっぱり日本で作られたものは、国民の皆様が、日本人の皆様が、日本に暮らすみなさんが、しっかりとまず消費をしていただける、この環境が第一だろうというふうに思っています。
(強調は引用者による)
このことに最も期待をした農林水産大臣だったのですけれど。
続いて「稼ぐ」についても発言していました。
ただ、稼ぐという観点も一方で大事だというふうに思いますので、生産者団体の皆さんとも一緒になって海外マーケットを作りにいく、このことも大事だろうと思っています。両方しっかりと取り組んでまいりたいと思います。
(強調は引用者による)
かつては「付加価値をつけて日本の農産物を海外へ」という熱が高まっていた時代がありました。
その自由貿易が吹き荒れた半世紀後、草も生えないような状況に陥っているところもあることでしょう。
今はむしろあの「海外マーケット」や価格競争を目指したことの混乱と失敗から、国民が国産の食品を日常的に安定して食べることができ、生産者の皆さんにも安定した収益があるような政策が求められているのだと思っています。
なんでこんなに感覚がすれ違っているのだろう思ったのですが、ちょうどその時代に生まれた世代の方々には現実感がわかないでしょうし、学びたくでも歴史がまとめられていないくらい「近い昔」ですからね。
知らないことがたくさんあるのだろうと腑におちました。
海外市場を目指すのも自由だけれど、ほどほどに、という感じ。
しかも、こんな円安の時代、しかも災害や戦争で不安定な時代に海外マーケットを拡大すると誰が儲けるのだろう。
*「強い農業」という流れが生き続ける*
大臣就任の打診で首相から「稼いでね、稼げるようにしてね、稼ぐのよ」と言われたことが伝わっていました。
党内でお互いに反目し合っているようでも、その時にああやっぱり自民党にはこういう流れが根強いのだなと思いました。
政府と自民党が農業改革をめぐりガチンコ対決となった背景には、農業を成長戦略のエンジンに転換させたい政府の思惑がある。
日銀の金融政策はマイナス金利の導入に伴う銀行収益の圧迫などが目立ち始め、手詰まり感は強い。消費の弱さと企業収益のもたつきで税収も伸び悩み、大胆な財政出動もままならない。
経済成長の目玉が見当たらない政権にとって、海外での和食人気など伸びしろの大きい農業を「きつい、汚い、もうからない農業」から「稼ぐ農業」へ転換するのは喫緊の課題だ。
ちょうど10年前の記事でした。
自由と民主を掲げながらいつの間にか新しい資本主義になり、資本主義とか民主主義というのは投機的な株主経済だったと姿を現した時代の「農政」はどこへ向かうのでしょう。
*おまけ*
大臣がどこへ視察に行くのかとか、そのお膳立てはどう決まるのでしょう。
鹿児島といえばこの方で、裏金で非公認になった議員の支部への政党交付金支給とか禊の7億円とか。今回も同行されたようですが、何があるのでしょうね。
あることも無かったことにする政治家の皆さんが「稼ぐ」というと、拒絶感しか感じない今日この頃。
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