4月上旬、品川駅を6時に出発するのぞみ1号に乗るために、まだ暗い中4時50分に家を出ました。気温は10度でしたが、不思議と寒いというよりはひんやりとするくらいです。
いよいよ徳島と香川を訪ねます。
この時間に乗る山手線も、ここ最近の遠出のたびに混雑度が増してきた印象です。
旅行客も増えましたが、5時半台でも通勤のためにぎっしりでした。通勤時間帯はほとんどの方がマスクをしているし喋ることもないのですが、最近は換気のために窓があいていることが少なくて空気が澱んでいる車両が増えました。窓あけで新鮮な空気に慣れてしまったので、最近は気分が悪くなりそうです。
換気は「新しい生活」で定着してくれると良かったのですけれどね。
6時に無事にのぞみが出発しました。3時間3分で岡山駅に到着予定です。ふと次の6時7分発の時刻表を見てみると、岡山まで3時間2分になっています。1分の違いを確認すると、名古屋・京都間で少しスピードをあげるようです。すごい正確なダイヤですね。
と、気を取られていたらあっというまに多摩川を越えていました。車窓に集中です。見慣れた風景でも毎回、新たな発見があるのですが、今回は相模川の左岸側と右岸側では土の色が違うことに気づきました。左岸側は黒っぽくて右岸側は茶色です。ぜひ歩いて確認してみなければ。
潤井川や富士川のあたりも田おこしがおわっている水田もありました。田毎の富士の季節も間近ですね。
昨年5月は明治用水頭首工の漏水で大変だった三河安城付近では、麦が15cmほどに伸びているのが見えました。
降車案内では「小さなお子様をお連れの方はお子様の手を引いてお降りください」というアナウンスが繰り返されていました。少し前、お子さんが線路に転落した事故があったからでしょうか。
東海道新幹線から山陽新幹線に変わると、乗務員はマスク着用をしていることと車内販売は現金トレーでの受け渡しのアナウンスがありました。
世の中の気持ちは大混乱ですから、対応する企業も大変ですね。トンチンカンな方向性には、リスクマネージメントという言葉は通用しなさそうです。
あちこちの美しい水田地帯や川、そしてさまざまな春の花の風景にそんなモヤモヤの気持ちをなぐさめられながら、吉井川と旭川を渡り岡山駅に到着しました。
*瀬戸大橋線で高松へ*
いよいよ瀬戸大橋線を渡って四国へ向かいます。海がよく見えるように快速マリンライナーのグリーン指定席もおさえました。なんといっても私の海の原点ともいえる瀬戸内海ですからね。
小学生の頃に宇高連絡船で渡った記憶はあるのですが、1990年代後半に四国へ行ったのは、どのルートだったのか全く思い出せないのです。瀬戸大橋線は1988年(昭和63)には開通していたようなのでこの時に乗ったのか、それとも今回が初めてなのかがわからないままです。
旅の記録をきちんと残しておけばよかったと悔やんでいます。
岡山駅を出発すると一つ目の大元駅のあたりでは、まだ市街地だというのに住宅街に水路がありぽつりぽつりと水田が残っています。「田」がつく地名も残っています。中世の干拓地でしょうか。
笹ヶ瀬川を渡ると瀬戸大橋線は早島から茶屋町へと大きく西へ曲がりながら広大な干拓地を通過して行きました。3ヶ月前は茶色でしたが、麦の穂で緑一色の風景になっていました。
倉敷川を渡り宇野線と別れると、いくつかトンネルを越えて海が見えました。児島の海です。
半世紀前の記憶ではもう少しこじんまりした街でしたが、たくさんの住宅が見えました。
そしてもう一つトンネルに入りました。鷲羽山(わしゅうざん)で、子どもの頃、祖父母の家に遊びに行くと時々山頂の展望台へ連れて行ってもらいました。この山を貫いて線路が通り、その先の四国に橋でつながるなんて考えたこともない「未来」でしたね。
トンネルの先はどんな風景が広がっているのだろう、なんだか感無量で出口を待ったのでした。
快晴の瀬戸内海に島々が浮かぶ風景が見えました。
ゆっくりと大きな鉄橋を列車が走り、島から島へと景色が変化していきます。
メモをとる間も惜しかったので、ずっと車窓を眺めていました。
本当に美しい瀬戸内海です。
やはりこの風景は初めて見るようなので、1990年代は瀬戸大橋線ではなく宇高連絡船で四国に入ったような気がしてきました。
対岸に四国がみえ、高架橋が大きく曲がりながら一旦宇多津へと向かい、その後高松へ向かって出発しました。
坂出の屋根の色が揃って美しい街並みや石積みの堤防から山あいに入りましたが、記憶にあるように香川県には円錐形の不思議な形の山が多いですね。
そして四国は明るい陽光に感じるのはなぜなのでしょう。
10時26分に高松駅に到着しました。岡山駅で30分待ち時間がありましたから、それを除けば、品川からわずか4時間で高松まで来れる時代になりました。
徳島への特急の出発まで40分あります。そのわずかの時間に駅の近くにある高松城へと向かう計画です。
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