2017-04-01から1ヶ月間の記事一覧

シュールな光景 6 <「危険なお尻ふき」>

こちらとこちらのお尻ふきの記事を書く時に、「赤ちゃんのお尻ふき、成分」で検索してびっくりしました。 最初から、こんなサイトが検索上位を占めていました。 「危険かも。赤ちゃんのおしりふきの成分には要注意」 「これがはいっていたら危険/便利だけど…

新生児のあれこれ 54 <新生児期のおむつかぶれとお尻ふき>

前回の記事で、「市販のお尻ふきを使うようになって入院中にひどいおむつかぶれになる新生児をみることが稀になった」という印象ですが、あくまでも1ヶ月健診が終わる頃までの「新生児」についてです。 それ以降の乳児の排泄に関しては、日頃観察をする機会…

10年ひとむかし 23 <赤ちゃんのお尻ふき>

トイレに関係する話が続きますが、今日からしばらくは赤ちゃんの話です。 私が勤務してきた産科施設で、布おむつから紙おむつになったのが1990年代半ばですが、お尻ふきの変化はもう少し時間差があります。 以前は、アルコール綿と同じように、病棟でスタッ…

産後のトラブルを考える 24 <「便失禁診療ガイドライン 2017年版」>

先日、日経メデイカルからさんが教えてくださった、「便失禁診療ガイドライン 2017年版」(日本大腸肛門病学会、南江堂)を読んでみました。 日経メデイカルからさん、ありがとうございます。 その前文には、「便失禁は日常生活のQOLに大きく影響する排便障…

トイレについてのあれこれ 4 <トイレットペーパー>

駿河湾のヘドロというと、富士市の製紙工場、トイレットペーパーと連想するのは、現在、どの年代から上の人たちでしょうか。 トイレットペーパー騒動を読むと、私が中学生の頃にトイレットペーパー買い占め騒動が起きていたのですが、当時は私の感覚でも「ト…

実験のようなもの 4 <ヒトは妊娠中にどこまで泳ぐことが可能なのか>

私が助産師になった30年ほど前に、「マタニティビクス」という言葉がボチボチと聞かれ始めました。そしてそれに少し遅れて、「マタニティスイミング」が出現したのでした。 妊娠中のストレッチは、体型の変化に伴う腰痛などを軽減してくれることもありますし…

発達する 12 <ヒトから魚へ進化する>

今日のタイトル、「え?逆じゃない?」と思われることでしょう。 ヒトから魚へでは「退化」になるのではないかと。 今日は、いえ、今日も学問的な話ではなく私の妄想話です。 昨日の記事で紹介した沼津港深海水族館で、なんと背泳ぎをする深海魚を見つけまし…

散歩をする 19 <駿河湾へ>

春の日差しに誘われてむしょうに海を見に行きたくなり、半日から日帰りで都内から行ける海を探して、地図をつらつらと眺めました。 その中で、子どもの頃に海水浴で行った記憶がある海のひとつ、駿河湾もいいなと思いつきました。 思い立ったら吉日、という…

発達する 11 <ただただ存在していることに意味があるところへ戻っていく>

90代にもなると、本当にひと冬を越すことにどれだけ体力を使うのか、今年の父をみていると理解できました。 お世話になっている施設では通年、施設内の温度も湿度も一定なので、自宅で暮らしていた頃のような室内でも凍えるような寒さや熱中症など、過酷な温…

発達する 10 <何故だろうという疑問を持つことができる>

新学期も始まり、そろそろ人出も少なくなるかなと思い、また水族園へ行きました。 春の暖かな日差しのなかでぼーっと海を眺めてから、水族園へ。 平日でも人が多くて水槽をゆっくり見ることができないことが多いのですが、その日は正解でした。 まずは、カタ…

事実とは何か 32 <救命時の特殊な時間の感覚>

先日の踏切事故で、救助しようとした方が何秒でどのような行動をしていたかが報道されていたことから考えたことの続きです。 ネット上では「救助を美談にするのではなく、非常ボタンを押す事の啓蒙を」という意見がありました。 それはそれで、もっともな感…

数字のあれこれ 18 <10秒とか、45秒とか>

昨日の記事にある踏み切り事故は、その後のニュースで、自殺のために踏切内に留まった方を助けようとしたことが新たに伝えられていました。 その電車の前に立ちはだかろうとした男性は何を思っていたのだろう、助けに入った男性はどんなに恐怖だったことだろ…

事実とは何か 31 <踏み切りを渡りきれない>

先日、踏み切りを渡ろうとした高齢の方と助けようとした男性が亡くなるといういたましい事故がありました。 ちょうどその前日に、あわやと思うような状況を目撃したので、そのニュースは人ごとには思えませんでした。 私が利用している路線はほとんど高架化…

散歩をする 18 <内藤新宿から半蔵門へ>

前回は新宿から幡ヶ谷方面へと玉川上水の暗渠部分をたどってみましたが、プールの誘惑に負けて時間が足りなさそうだったので、玉川上水の終点、四谷大木戸は別の日に歩いてみました。 こちらの記事で紹介した「東京地形散歩」では、こう書かれています。 玉…

散歩をする 17 <玉川上水の暗渠をたどる>

30年ほど前、近くに住んでいたことから玉川上水に関心を持ったことはこちらとこちらの記事に書きました。 多摩川上流の小河内ダムから下って、羽村の取水堰から玉川上水沿いを何度かに分けて歩き、最後は神田川へと合流する地点まで、玉川上水沿いを歩きまし…

正しさよりも正確性を 5 <底が浅い知識と思考では真の反省はできない>

前回の記事で紹介した日本助産師会の 「ビタミンK2投与がなされず、児が死亡した件に関して」を出したわずか1ヶ月後の2010年8月24日に、日本学術会議から「『ホメオパシー』についての会長談話」が出されました。 「ホメオパシー」についての会長談話 ホメ…

正しさよりも正確性を 4 <正しさだけではつじつまがあわなくなる>

私がkikulogというサイトを知ったのは、助産師の中に広がるホメオパシーって何だろうと検索していた時でした。 2009年の初めの頃だったと思います。 その中で、ご家族がホメオパシーにのめり込んでしまった方が、ホメオパシーの研修会を開いていた日本助産師…

水のあれこれ 59 <発想を変える>

先日、報道ステーションの中で古賀淳也選手の浮き上がりのコツの特集がありました。 リオオリンピックでは専門だった背泳ぎでは選考からはずれ、自由形リレーメンバーでオリンピック初出場となりましたが、昨年12月に行われた世界短水路選手権では専門の背泳…

正しさより正確性を 3 <どこからか沸いてくる誤った知識>

新生児にはビタミンK2シロップを飲ませることを知っているけれども、納得できない人がこれからもまた、さまざまな理由とともに出現することでしょう。 そのつど、新生児のリスクを減らすために説明をするしかないのかもしれません。 ところが、最近、知人か…

正しさより正確性を 2 <ビタミンKを否定する感情の背景にあるもの>

ごくごくたまになのですが、妊婦健診中に「生まれた赤ちゃんにK2シロップを飲ませたくない」とおっしゃられる方がいます。 どのような情報をきっかけにそのような気持ちになられたのかは、健診中の短時間の会話では推し測れないものがあります。 ある方は、…

観察する 27 <カタクチイワシのストリームライン>

葛西臨海水族園の最初の大きな水槽の前にいる人たちの様子を見ていると、シュモクザメの姿とグルクマの大きな口に驚き、そしてだいたい数分もしないうちに次の展示へと移動することがほとんどという印象です。 時々、わーっと多勢の人が水槽の前に集まり、そ…

観察する 26 <グルクマの食事>

葛西臨海水族園に入ってまず最初の大きな水槽には、シュモクザメやエイ、アジやイワシが泳いでいます。 その水槽をながめているだけで、何時間でも過ごせそうなぐらい興味深いのですが、その水槽の前で人間を観察していると、まずはシュモクザメの姿に目を奪…

正しさより正確性を 1 <大山鳴動して鼠一匹>

このところ、政治が面白いと思えるようになってきました。 「○○党が何を言っているか」という意味の政治ではなく、たとえば「予見可能とは」のように、社会の構造には膨大な専門知識や経験あるいは歴史の集積があって、そうした専門知識の統合された政治とい…

事実とは何か 30 <原題は「Tiger」>

「汚れたミルク」という邦題は、どのように決まったのだろうと気になっています。 原題は「Tiger」なのですが、なぜ乳児用ミルクの「告発」映画に「Tiger」かというと、映画の冒頭で「巨大多国籍企業」に就職したアヤンや新入社員が、意気高揚のために虎の吠…

乳児用ミルクのあれこれ 43 <「適切な授乳」を普遍的に考える>

「周産期・小児期専門の栄養士を地域内で派遣し合う」という壮大な理想ですが、乳業会社からの派遣ではどうしても自社製品の宣伝から逃れることができません。 たとえ、「うちの製品が一番売れています」とか「どこの製品よりも母乳に近づけています」といっ…

乳児用ミルクのあれこれ 42 <個人的体験談ではなく標準化された調乳・授乳の啓蒙を>

栄養士さんや管理栄養士さんが、調乳に関してどのような関わり方があるのか現状がよくわからないのですが、検索していたら、乳業会社の派遣だけでなく、個人事業として調乳指導をされている方もいらっしゃるようです。 その「街の管理栄養士ひはらみほ」さん…

乳児用ミルクのあれこれ 41 <周産期・小児の専門栄養士なんてどうでしょうか>

乳業会社からの栄養士さんとは距離を置いていた私ですが、日本で10年遅れぐらいで「途上国のミルク批判」が広がったのと逆行するように、2000年代に入る頃からはこうした乳業会社の栄養士さんの置かれている状況に関心が出始めました。 どのような動機でこの…