落ち着いた街 8 路面電車が走っている

2016年ごろからボチボチと都内近郊を散歩するようになったのですが、六義園に行く時に久しぶりに都電に乗りました。

路面電車に乗るのは、何十年ぶりだろう。

幼児の頃には都内にいくつか残っていた路面電車も、1980年代頃にはこの都電荒川線と東急世田谷線ぐらいになっていました。

 

*電車の方が止まる*

 

東急世田谷線の説明に、若林踏切の説明があります。

環七通りと平面交差する西太子堂駅若林駅間の若林踏切(西太子堂5号踏切)では、信号(鉄道信号)が道路と同期している。電車が来たら、環七の交通を止めるのではなく、信号(交通信号)が変わるまで電車の方を待たせる仕様になっており、「信号待ちをする電車」は当路線を代表する光景の一つとなっている。

20代の頃に初めて世田谷線に乗った時には、高速・大量輸送の時代に変わって行く時期になんとのんびりした路線なのだろうと、ちょっと古臭く感じていました。

この踏切で電車の方が止まることにも、驚いたのだと思います。

 

目黒川上流で、現在は烏山緑道として整備された遊歩道が、若林踏切のそばにあります。緩やかな河岸段丘で一段低くなった場所を世田谷線が通っています。この箇所を高架にしなかったのは、どういう理由があったのでしょうか。

 

ただ最近では、この踏切で世田谷線が止まる方法にしてくれたおかげで、慌ただしい幹線道路なのにそこだけ穏やかな場所に見えるのですから、40年前からの私の気持ちもずいぶんと変化したものです。

 

*全国の路面電車が通っている街*

 

2年前のちょうど今頃、久しぶりに岡山を訪ねた時に、路面電車が今もなお健在で、道路の中心を走っているのを見ました。

90年代にも一度、岡山市内の路面電車に乗った記憶があるのですが、車社会へと驚異的に変化していく中で、もうじきなくなるのだろうぐらいに思っていました。

 

以来、少し遠出をする時に、路面電車がある街ではできるだけ乗ってみるようになりました。

福井市の福武線広島市の広島電鉄大津市の京阪電車富山市内の市電そして高岡市の万葉線に乗りました。

 

どの路線も、本数が多いことが魅力でした。

1時間に数本、中には数分おきの区間もあります。路面電車のある区間はバス路線と競合してしまうように考えていたのですが、案外、バス路線も本数が多く、乗り継ぎも便利でした。

 

たしかに通常の列車に比べると速度が遅いのですが、歩行者にすると安全な速度です。

そして交通量が多い都市中心部の道路では、真ん中に路面電車がゆっくりと走っているだけで、自動車のスピードを抑えてくれているのではないかと感じることがありました。

また、幅の広い道路の真ん中に停車場があるので、横断しきれなかった時でもその「島」にいったん避難することができます。

 

路面電車が廃止された幹線道路では、左折・右折しようと待っている自動車に急かされるように長い横断歩道を渡るか、息を切らせながら階段を登って歩道橋を歩くしかありませんね。

 

最近、夜中にNHKの「ヨーロッパ トラムの旅」という番組があって、録画して観ています。

やはりどの地域でも、路面電車が走っていると車も合わせるかのようにゆっくり走り、路面電車が静かにゆっくりと停車すると車も同じようなペースで停車しているように見えます。

Wikipedia路面電車を読むと、「世界では約50か国の約400都市に存在し」とあります。

もしかすると、そのうち結構な割合が日本にあるかもしれませんね。

 

案外、近未来の交通手段に一つとして路面電車の復活があるのではないかと、路面電車の通っている街の雰囲気を思いだしながら期待しているのですが、どうでしょうか。

 

 

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