2013-05-01から1ヶ月間の記事一覧

医療介入とは  90  <CTGと看護技術>

前回の記事の最後に、「お産の陣痛の個人差をより正確に観察できるようにもっと技術を磨いていきたい」と書きました。 その「技術」という表現は、医療従事者であれば「看護技術」の略であることはわかると思います。 今回はその看護技術について考えてみよ…

医療介入とは  89  <CTGは何を表しているかー陣痛の個人差>

胎児心拍のさまざまな変化から、胎児の様子、胎児の生活を想像することのおもしろさがあることは昨日書きました。 分娩監視装置のもう一つの視点、陣痛計もまたいろいろな興味がわいてきます。 <微弱陣痛とは何か> 陣痛計の意義は、陣痛間歇が何分で発作は…

医療介入とは 88 <CTGは何を表しているのかー生活者としての胎児>

分娩監視装置による陣痛胎児心拍モニタリングを実施するためには、陣痛と胎児心拍を感知する直径8cmほどのトランスデューサーを産婦さんのお腹に当てて固定します。 陣痛計は臍の上の子宮底のあたりに付け、胎児心拍計は胎児の背中のある方向に装着します…

医療介入とは  87  <CTG(分娩監視装置)は何を表し、何をどうやって知ることができるか>

分娩進行中に陣痛圧と胎児心拍数を連続的に測定する分娩監視装置(CTG)は何を表し、そこからどのような情報を私たちは得ようとしているのでしょうか? こちらの記事で紹介した、「周産期医学」2012年4月号(東京医学社)の「特集 CTGテキストブック2012−日…

医療介入とは 86  <分娩監視装置と30代の出産>

陣痛と胎児心拍をモニターする分娩監視装置(CTG)の歴史について、「医療介入とは 19 <胎児の安全がわかるようになった時代>」から、「医療介入とは 32」あたりまでで書きました。 先日いただいたpakoさんのコメントから、いろいろまた考える機会となりそ…

ジャパン・オープン2013(50m)

おとといから、神奈川県相模原市のグリーンプールで競泳の大会が開催されています。 4月の日本選手権は新潟での開催だったのでテレビ観戦だけでしたから、今回は見逃してはならないといそいそと会場へ出かけています。 4月の選手権は録画をしておいたもの…

行間を読む 1

助産婦学校時代に感染症を教えてくださったのは、当時、周産期感染症で第一人者と言われた先生でした。 一言一言を漏らさずに聞き取ろうとノートをとり、授業もひきつけられるように聞き入っていた記憶があります。 それだけ熱心に筆記していた授業内容でし…

新生児のあれこれ 34 <新生児〜乳児期のおむつなし育児について思うこと>

こちらの記事で、「赤ちゃんにおむつはいらないー失われた身体技法を求めて」という抄録を紹介しました。 赤ちゃんの非言語的なメッセージを受け止めるという身体技法を大人の方が有していたのではないか? それを受けとめられなくなった大人のあり方こそ問…

新生児のあれこれ 33  <排泄の自立>

「排泄の自立」の話題なのに、「新生児のあれこれ」という題はそぐわないと思われることでしょう。 ところが、おむつなし育児では新生児や生後2〜3ヵ月ごろの乳児に対しても行っているという話があります。 首もすわっていない赤ちゃんをかかえておまるの上…

新生児のあれこれ  32  <排泄の自律>

赤ちゃんのうんちやおしっこといえどもあちらこちらに飛び散らないようにしてまとめて処理をする。 おむつを使うというのは、感染症がわかる以前の時代から排泄物の取扱いに対する智恵だったのではないかと私には思えるのです。 それをなぜ、あえておむつを…

下水道についてのあれこれ 4  <トイレット・トレーニング>

1980年代、海外医療援助活動で参考にしたのがイギリスの援助団体OXFAM(オックスファム)から出されている「Where There Is No Doctor」であったことを、「こちらの記事」で書きました。 その基本的な考え方はプライマリーヘルスケアに基づいたもので、 リン…

下水道についてのあれこれ 3 <感染症と屎尿処理>

以前勤務していた総合病院は産科と小児科の混合病棟でした。 冬になると、必ず何人かの乳幼児がロタウィルス感染症で脱水のために入院していました。 通常は大人はかかりにくいのですが、夜勤の不規則勤務と過労で抵抗力の落ちたスタッフが感染することもあ…

「日本住血吸虫症」展

先日来、川で沐浴することや胎盤の寄生虫 などで住血吸虫について思い出す機会があったので、調べているうちにちょうど国立科学博物館で企画展「日本はこうして日本住血吸虫症を克服したーミヤイリガイの発見から100年」が開かれることを知りました。 こうい…

下水道についてのあれこれ 2 <屎尿処理の歴史>

「おむつなし育児」の話題のはずが、なぜ突然下水道について書いているのかというと、新生児や赤ちゃんのうんちやおしっこも立派な屎尿(しにょう)だからです。 世の中、本当に地道に調べ考えている人たちで支えられているのだと思う研究会のサイトを見つけ…

下水道についてのあれこれ 1 <玉川上水>

一時期、玉川上水の近くに住んでいました。 (リンク先の水道局のHPに玉川上水の歴史があります*) 都内のほとんどの川が護岸工事や暗渠(あんきょ)化がされている中で、土がそのまま残され四季おりおりの風景を見せてくれる樹木や草花がある川べりを歩くと…

紙おむつのトリビア

紙おむつの歴史がわかるおもしろいサイトを見つけました。 一般社団法人 日本衛生材料工業連合会の「年表 紙おむつの歴史」です。 <紙おむつが誕生した時代> 最初は綿不足から布おむつが作れなくなり、紙おむつが1940年代に考案され1950年に誕生したそうで…

新生児のあれこれ  31  <赤ちゃんにおむつはいらない?>

なぜヒトの赤ちゃんはおむつが必要なのでしょうか。 最近では動物園で人工飼育されている動物が紙おむつをしている様子を目にする機会が増えたので、「ヒトだけがオムツをする」ということではなくなりましたが。 それでも、ヒトの赤ちゃんは「昔は持ってい…

新生児のあれこれ  30  <おむつをしない国のようす>

日本でも数年ぐらい前から「おむつなし育児」という言葉を耳にするようになりました。 それを勧めている人たちのサイト「おむつなし育児」があります。 [ttp://www.omutsunashi.org/whatis.html](hをはずしてあります) その中に「どうしてそれがいいことな…

新生児のあれこれ 29  <排泄の『自然』と『不自然』>

昨年2月28日から「新生児にとって『哺乳行動』とはなにか」という記事を書きました。 その中で、「哺乳行動とは、消化・吸収・排泄までの総合的な複雑なしくみ」ではないか、と書きました。 そしてその記事の<おまけ>に書いたおむつなし育児について、重複…

医療介入とは 85  <「水中分娩」の適応と要約>

前回の記事の中で、以前の私のkikulogへのコメントを紹介しましたが、その中に以下の部分があります。 産科では、母子ともに安全な分娩のために、さまざまな医療処置や医療機器が開発されてきました。 帝王切開と麻酔、鉗子(かんし)分娩など、どれも絶対に…

新生児のあれこれ 28  <ヒトが水中で出産すること>

「こんな状況でもなぜ新生児は大丈夫なのか」と思うことに、水中分娩があります。 もちろん「大丈夫だなんてすごい」という感動ではなく、「よく無事でいられた」という安堵感ですが。 出産の現場というのは、イメージ以上に血液や排泄物がつきものであるこ…

新生児のあれこれ 27 <こんな状況でも大丈夫なことがあるのか>

世の中の雑菌などに対して出生時に初めて挑み、そして無防備な新生児です。 ですから「こんなことも起きるのか」と、未知の感染症がこれからも明らかにされていくことでしょう。 ところが反面、こんな状況でどうして新生児は無事だったのだろうとその免疫能…

医療介入とは 84  <胎盤を食べさせないための啓蒙>

約280日という限られた妊娠期間においてのみ発育し、児娩出直後剥離して排出される胎盤の機能ほど多彩な働きを示す器官は、他臓器にはみられない。 私にとって胎盤とは、まさにこの記述に書かれたものそのものでした。 いつ頃だったか記憶にないのですが、こ…

境界線のあれこれ 4  <胎盤ー胎児を無菌状態に保つ壁>

子宮外へ出た途端、新生児は細菌やウィルスと自身が対峙しなければならなくなることを書いてきました。 「胎児は母体内にいる限り、原則的には無菌状態」ということをこちらの記事で書いたように、胎児であれば細菌やウィルスから守られています。 医療施設…

新生児のあれこれ 26  <感染症ではないとわかった病気ー新生児メレナ>

医学の進歩とともに新生児の感染症が次々に解明されてきましたが、反対に、感染症ではないとわかったものもあります。 新生児にビタミンK2シロップを内服させていることは、この件 があるまではあまり知られていなかったことでしょう。 新生児メレナという出…

新生児のあれこれ 25 <こんなことも起こるのか>

ここ30年ほどを振り返っただけでも、「新生児にはこんなことが起きるのか」と驚かされるような感染症が次々と明らかになりました。 <生ものは摂らない・・・リステリア菌感染症> 最近の話題では、リステリアによる母子感染もそのひとつです。 妊婦さんが、…

新生児のあれこれ  24  <兄・姉からの感染>

前回の記事で書いたように、退院後まもなく感染症で入院する新生児がいます。 特に、経産婦さんの赤ちゃんの場合、上の子の風邪や感染症をもらいやすいようです。 あるいは退院後に産後の手伝いがなくて、上の子の保育園や幼稚園の送迎をしなければならない…

新生児のあれこれ 23  <面会についての決まりごと>

生まれたばかりの赤ちゃん。 夜中でもいてもたってもいられなくて駆けつけてくれるご家族の方もいらっしゃいます。 上の子たちも、うまれてくる妹や弟のために頑張って起きて待っていてくれたりします。 できるだけご家族に赤ちゃんが祝福してもらえるような…

新生児のあれこれ 22  <新生児の感染症>

未だに世間に根強い認識のなかに、「新生児はお母さんから免疫をもらってきたから病気にはならない」というものがあります。 この場合は主に、ばい菌による病気、つまり感染症のことを指しているようです。 麻疹・水痘など母体から特定の免疫をもらっている…

沐浴のあれこれ 4 <どこでも沐浴>

青空トイレも平気な私ですが、20代前半までは食事をしている姿を人に見られるのも緊張するほど自意識過剰のところがありました。 そんな私が、どこでも沐浴できるようになりました。 <囲いがなくても平気> 東南アジアでの生活に慣れ人間関係が広がるにつれ…