新生児
乳児用粉ミルクの不買運動は、1977年のネスレ・ボイコットから始まったようです。 この直前の1976年に、ダナ・ラファエル氏らが母乳育児に関して調査研究を始めたことをこちらの記事で紹介しました。 1976年当時の社会の認識が伺える部分を再掲します。 当時…
私自身は助産師になってからずっと母乳育児支援が好きでしたし、関心も人一倍あったほうだと自負しています。 初産婦さんで赤ちゃんがうまく吸い付けない場合やお母さんが不安が強い方などは電話やメールでフォローし、来院していただいたり時には自宅に伺っ…
ユニセフの各国から出されているプレスリリースに、「最も費用対策効果が高い、赤ちゃんを守る方法」という東京発の記事があります。 ■ 生存率を高める母乳 完全母乳で育った子どもは、そうでない子どもに比べて、生後6ヶ月を生き延びる確率が14倍も高くなり…
1970年代から80年代にかけて、「開発途上国ではミルクを不衛生な状態で飲まることでの感染症や、高価な粉ミルクを薄めて飲ませていることによる栄養失調が問題になっている」ということが言われました。 そういう地域や状況もあったかもしれません。 それな…
1980年代半ばに私が働いていたインドシナ難民キャンプでは、母子保健プログラムの一環として、週に2回ほど妊婦さんや授乳中の女性に対しての食糧配給がありました。 広場に集まった対象の女性に栄養や衛生についてのレクチャーがあり、そのあとにひとりひと…
日本ユニセフ協会が2012年9月に出した「十分なケアを乳幼児に」には以下のように書かれています。 新生児(生後1ヶ月未満)の死亡が増加している。1990年には5歳未満児死亡数全体の約10%であったが、現在では約40%を占めている。 これは何を意味してい…
日本では、「食べるものがない」という状況を現実感を持って想像できる人はどれくらいいらっしゃるでしょうか。 1990年頃から10年ほど、まとまった休みがとれると東南アジアの某国に行きました。 零細漁民やプランテーションで働く貧困層や少数民族の人たち…
一世紀前、まだ牛乳そのものを乳児に与えるしか方法がない時代には、牛乳を介した結核の感染や乳児の消化能力にあわせていないための消化不良というリスクがありました。 缶入りの練乳の時代に入って開封前の長期保存が可能にはなりましたが、やはりまだ乳児…
乳牛や山羊が身近にいる地域でしか手に入らなかったミルクが、保存可能な缶入り練乳となって他の地域でも手に入ることができた時代には、どんなに喜びを持って迎えられたことでしょうか。 そしてほんの半世紀前までの日本のように一般家庭に冷蔵庫がない時代…
私が幼児だった1960年代(昭和30年代後半から40年代)の頃には、冷蔵庫が一般家庭にも普及し始めた時代でした。 私には冷蔵庫がない記憶というものがないのですが、家庭電気文化会の「家電の昭和史 冷蔵庫編」には以下のように書いてあります。 昭和40年、冷…
乳児用ミルクを製品化したのは、Henri Nestleのようです。 wikipediaのネスレには以下のように書かれています。 1860年代に薬剤師のアンリ・ネスレ(Henri Nestle)は、母乳で育つことができない新生児のためのベビーフードを開発した。彼の新製品は、母乳も…
昨日紹介した「哺乳ビンの消毒はいつまで続ければよいのでしょうか?」の回答モデルには、実は以下のような文が続いています。 母乳栄養児(混合栄養を含む)では、生後も母体からの免疫成分の移行が続きますし、消化管でのビフィズス菌・乳酸菌の定着が促さ…
「3〜4ヶ月になると『手やオモチャを舐めるんだから、哺乳ビンの消毒だけじゃ意味無いよ』っていう話もよく聞きます」 以前いただいていたyamyamutohさんのコメントについて、今日も資料をご紹介します。yamyamutohさん、お待たせしました。 今回参考にする…
サカガキ菌による乳児の感染については1958年以降の報告があるようですが、その抜粋をまとめた表が「乳児用調整粉乳が汚染されているとしたら?に掲載されていることを昨日の記事でも紹介しました。 そのコラムの「これからの対策」に以下のように書かれてい…
母乳を搾って清潔な容器に入れて冷蔵したり、専用のパックで冷凍保存をすることは産科施設でも日常的に行われてきました。 その搾乳(さくにゅう)あるいは搾母(さくぼ)の衛生状態はどうなのか、保存期間はどのように考えられているかという点についてご質…
昨日の記事にrenyankoさんがくださったコメントの中で、ウォーターサーバーのお湯を使って調乳をしている分娩施設があることを知りました。 renyankoさん、ありがとうございます。 「液状乳児用ミルクを望んでいます」(2012年5月13日)の中で以下のように書…
粉ミルクの製品の段階でサカザキ菌あるいはサルモネラ菌が混入し乳児に感染症を起こす可能性があるので注意するようにと、勤務先にも2009年頃に通達が来ました。 その時にこちらの記事で紹介した、「教科書に書いてあること、その行間を読めるようになってく…
粉ミルクに比べてすでに調乳されている液状ミルクのメリットは、なんといっても「滅菌」されていること、その一言につきると思います。 たびたび引用している、2007年に出されたWHO/FAO「乳児用調整粉乳の安全な調乳、保存及び取扱いに関するガイドライン」…
粉ミルクの大缶は、850g前後の内容量があります。 一度開封すると、何回ぐらいこの缶の中に人の手を介して雑菌が入る可能性があるでしょうか? 通常、缶の中には1杯2.6g程度の粉ミルクを計量するスプーンが入っています。 つまり1缶を使い終えるまでに、315…
なぜ私が液状乳児用ミルクの必要性を強く感じるかというと、「衛生的な調乳」のためです。 医療機関ではなく家庭においての衛生的な調乳とは、皆さん、どのレベルを思い浮かべるでしょうか? おそらく「消毒をした」哺乳ビンを使うということだけでも、かな…
「新生児にとって哺乳行動とは何か 4」で、最初に出た胎便をお母さんに見せていることを書きました。 10ヶ月ほどの長い期間、少しずつ腸の中に胎便を作ってきたこと。 羊水の中ではできるだけ胎便は出さずに、世の中に出て活発に腸蠕動が始まってから出るこ…
胎児から新生児になった瞬間から劇的に腸内が変化していくのに、なぜ母乳を飲ませるテクニックのような話ばかりになるのだろう。 赤ちゃんが眠らなかったりぐずったり、あるいは吸いつかないなど、すべて母乳やおっぱいのせいにされてしまうのだろう。 なぜ…
産後ケアを保健医療的に見た場合、褥婦(母親)のケアと新生児のケアに分けれられます。 社会的視点まで広げた産後ケアにすれば、家族へのケアも含まれるのかもしれませんが。 今回は、新生児のケアとは何か、考えてみたいと思います。 「新版 助産師業務要…
こちらの記事で、「赤ちゃんにおむつはいらないー失われた身体技法を求めて」という抄録を紹介しました。 赤ちゃんの非言語的なメッセージを受け止めるという身体技法を大人の方が有していたのではないか? それを受けとめられなくなった大人のあり方こそ問…
「排泄の自立」の話題なのに、「新生児のあれこれ」という題はそぐわないと思われることでしょう。 ところが、おむつなし育児では新生児や生後2〜3ヵ月ごろの乳児に対しても行っているという話があります。 首もすわっていない赤ちゃんをかかえておまるの上…
赤ちゃんのうんちやおしっこといえどもあちらこちらに飛び散らないようにしてまとめて処理をする。 おむつを使うというのは、感染症がわかる以前の時代から排泄物の取扱いに対する智恵だったのではないかと私には思えるのです。 それをなぜ、あえておむつを…
紙おむつの歴史がわかるおもしろいサイトを見つけました。 一般社団法人 日本衛生材料工業連合会の「年表 紙おむつの歴史」です。 <紙おむつが誕生した時代> 最初は綿不足から布おむつが作れなくなり、紙おむつが1940年代に考案され1950年に誕生したそうで…
なぜヒトの赤ちゃんはおむつが必要なのでしょうか。 最近では動物園で人工飼育されている動物が紙おむつをしている様子を目にする機会が増えたので、「ヒトだけがオムツをする」ということではなくなりましたが。 それでも、ヒトの赤ちゃんは「昔は持ってい…
日本でも数年ぐらい前から「おむつなし育児」という言葉を耳にするようになりました。 それを勧めている人たちのサイト「おむつなし育児」があります。 [ttp://www.omutsunashi.org/whatis.html](hをはずしてあります) その中に「どうしてそれがいいことな…
昨年2月28日から「新生児にとって『哺乳行動』とはなにか」という記事を書きました。 その中で、「哺乳行動とは、消化・吸収・排泄までの総合的な複雑なしくみ」ではないか、と書きました。 そしてその記事の<おまけ>に書いたおむつなし育児について、重複…