2014-08-01から1ヶ月間の記事一覧

小金がまわる 2  <小金が社会を支える・・・保険>

2001年に介護保険が始まった年から、40歳以上は給与明細には「介護保険」として天引きされるようになりました。 40歳が初老と呼ばれることは知っていましたが、自分がなってみると「失礼な」と思いたくなるほどまだ老いを考えてはいない年齢層ですから、…

ツルボ

10年ほど歩いている通勤路でみつけた花のひとつで最近名前がでてこなかった花があるのですが、先日咲き始めていました。 ふと名前を思い出して(ような気がして)検索したら、これが。 あ、それはウ・ツ・ボ。 自分の記憶力に自信がなくなるこのごろです。…

産後のトラブルを考える 21 <家族崩壊を防ぐための現実的な解決策>

前回までは、「気持ち」の部分からケアや産後のトラブルを抱えた家族について考えました。 妊娠・出産を機に予想もしなかったトラブルやケアの長期化を抱えることによる家族の崩壊を防ぐには心理的なサポートも必要ですが、気持ちの問題は人さまざまですから…

ケアとは何か 5 <「家族の失敗」とは>

「健やかなときも、病めるときも」という誓いが現実にはとても難しいことは、両親をみてもわかります。 認知症になった自分のパートナーを24時間、心身ともに張りつめた状態でケアすることになった母は、私たち子どもの前でも父を怒鳴るようになりました。 …

ケアとは何か 4 <「健やかなるときも、病めるときも」>

あおばさんやさとえさんの日常について具体的なお話を伺うことで、そのパートナーの方たちの思いも気になっていることは前回書きました。 最初にコメントを読ませていただいた時には、思わず「健やかなるときも、病めるときも・・・」というあの誓いが心に浮…

産後のトラブルを考える 20 <ケアーが必要になった人のパートナー>

これまでご紹介してきたようにさとえさんやあおばさんからコメントをいただいたことで、産後に排泄トラブルを抱えることになった方々のやり場のない思いを知る機会になりました。 それを読みながらもうひとつ気になっているのが、パートナーの方々のことです…

雨にも負けず、寒さにも負けず

8月21日から24日まで、オーストラリアのゴールドコーストでパンパシフィック水泳競技会が開催されていました。 今年はそのあと9月18日から韓国で開催されるアジア大会があります。 パンパシは日本、アメリカ、オーストラリア、カナダの4カ国で始ま…

小金がまわる 1 <助産師の小金がまわる世界>

人ごみの中を歩いていると、こんなに多くの人の生活が成り立つお金はどこから出てくるのだろう、と時々ちょっとめまいを感じることがあります。 皆、本人か家族がなんらかの仕事をして現金を得るからこそ、こうして服をきたり携帯電話を持って歩き、どこか食…

ケアとは何か 3 <子どもを社会で見守るということ>

最近は老老介護だけでなく、10代20代という世代への介護の負担も「社会の問題」として認識されるようになりました。 介護を要する人が一人いることで、家族関係は大きく変化します。 高齢者や病気の人に接し直接的なケアをする機会は、意味があるものだと思…

産後のトラブルを考える 19 <ケアを必要とする側がケアも担う>

老老介護という言葉が使われ始めたのは、何年頃だったのでしょうか。 高齢者と高齢者だけでなく、高齢の親が障害をもった成人のこどもを介護したり、中高年が高齢の親を何十年も介護するなど、「老老」では表現しきれない多様な状況があります。 これを別の…

ケアとは何か 2  <「ケア」の語源と意味ー「ケアの社会学」より>

親の介護を真正面から考えなければいけなくなったときに、上野千鶴子氏の「ケアの社会学 −当事者主権の福祉社会へ」(太田出版、2011年)に出会いました。 「ケアとは何か」。 看護ケアの現場で働いてきた中で、ずっと心の中にあった根本的な問いに答えれく…

ケアとは何か 1 <基本的欲求に対する援助>

お産の進行中にずっと側にいてケアをしたり、赤ちゃんの誕生に立ち会えることはとてもやりがいもあるのですが、私がとても大好きなケアをひとつあげるとしたら、お産直後のお母さんの清拭(せいしき)です。 お産が終わって落ち着いた頃に、温かいタオルで体…

産後のトラブルを考える 18  <排泄のトラブルと子供の成長、そして自責の念>

出産を機に尿失禁や便失禁など排泄のトラブルを抱えた方の日常生活の大変さには想像ができても、新生児から乳児、そして幼児へと成長していくお子さんを見てどのような思いがあるのかまでは、私は正直なところ考えないままでした。 あおばさんとさとえさんか…

産後のトラブルを考える 17 <4度裂傷への対応方法の変化>

経膣分娩時に会陰におこる裂傷は1度から4度まで分類されているのですが、人間だけでなく馬の出産にも裂傷が起こる事はこちらで書きました。 裂傷4度というのは「裂傷が肛門粘膜ならびに直腸粘膜まで達したもの」で、最も程度の重い裂傷です。 1度から4…

産後のトラブルを考える 16 <あおばさんの話を聞いてください>

第一子出産を機に排泄トラブルを抱えたために、その日常生活への心身のご負担とともに次の妊娠・出産方法の選択についての苦悩をコメントで知らせてくださったあおばさんの経過をご紹介したいと思います。 まず、こちらのコメント欄に書いてくださった、出産…

産後のトラブルを考える 15  <過去記事のまとめ>

出産を機に排泄のトラブルという後遺症を抱えることになってしまったさとえさんのコメントをご紹介しました。引き続き、あおばさんからもいただいたコメントをご紹介しようと思いますが、その前に一旦、「産後のトラブルを考える」の全記事がわかるようにま…

行間を読む 25 <「もともと消防署には『赤い車』しかなかった」>

タイトルは、先日たまたまm3comという医療関係のサイトのバックナンバーを読んでいた時に見つけた一文です。 「医療維新」の2009年3月24日に、都立墨東病院救命救急センター部長濱邉祐一氏のインタビュー記事、「『スーパー周産期』でモラルハザード誘発の…

産後ケアとは何か 23 <関連記事のまとめ>

産後ケアに関する記事は、2013年6月3日の「産後ケアセンターと『骨太の方針』がきっかけで始まりました。 先日のぽむぽむさんの韓国産後調理院見学記の紹介とそれを読んで考えた事を書いた記事まで、一旦、産後ケア全体の記事と関連記事がわかりやすいよう…

行間を読む 24 <産後院と漢方、そして医療観光>

1980年代初めの頃に私が新卒看護師として初めて就職した病院は、国公立病院の中でも少し特殊な病院でした。 先進的な治療を積極的に取り入れるために、当時はまだ再生利用が主流だった時代に、医療機材や医療用品もデイスポ(使い捨て)製品が潤沢に使われて…

行間を読む 23  <なぜ産後院は『医療』ではなかったか>

ぽむぽむさんの韓国産後院見学記の中に、韓国の産後院(産後調理院)は「医療行為でない産後ケア」という位置づけで始まったことが書かれています。 たしかに、日本でも退院後の産後支援ヘルパーの派遣のような家事・育児は「医療行為」ではないし、医療でも…

医療と解剖

医療ドラマはなんだか見ているのが気恥ずかしいような気分になるので、今までほとんど見た事がないのですが、「ゼロの真実〜監察医・松本真央〜」は録画してみています。 きっと実際の刑事さんたちも、「相棒」を観るのは同じような気恥ずかしい気持ちかもし…

行間を読む 22 <なぜ産後の養生が集団生活なのか>

2〜3年前に韓国の産後調理院の話題を知った時には、韓国の産科入院期間が2〜3日という短期間であるので、その後のフォロー体制が必要としてできたのだろうということと、イスラエルの集団保育のようなイメージがありました。 キブツに書かれている、「生…

行間を読む 21 <「安定した生活を求めるために、女性のほうから選択したという側面があった>

前回の記事で紹介した「纏足をほどこした女性たち」の中に、以下のような文があり、著者は「女性の制限付きの主体性」と読んでいました。 安定した生活を求めるために、またファッションとしても女性のほうから選択したという側面があった。 これを言い換え…

記憶についてのあれこれ 22 <現代の纏足(てんそく)>

次に生まれ変わるとしたら、一生水の中で泳いでいるさかなになりたいですが、他の生物に食べられちゃうのは勘弁ですね。 生まれ変わるのに人間限定ならホルモンの影響で精神的に揺れの大きい女性とは違う男性を経験してみたいなと思いつつ、やはり女性でよか…

ブーゲンビリア

1980年代あたりから海外旅行が一般的になって、「あの土地で食べた物をまた食べてみたい」とおもう熱情が「海を越えてやってきた野菜」で書いたように、1990年代頃から手軽に買えるようになった野菜や果物が増えたのかもしれません。 同じように、1…

記憶についてのあれこれ 21 <形成外科と美容整形>

韓国の医療ツーリズムが特に美容整形に力を入れていることはよく耳にしますが、産後調理院の記事を読むと、産後が美容整形術を受けるチャンスととらえていることに正直なところ戸惑いに近い気持ちになります。 ところで「美容整形」という言葉が日本の社会で…

記憶についてのあれこれ 20 <ベトナム戦争と韓国>

1980年代に難民キャンプで働いたことは何度か書いてきました。 最初の2年間は東南アジアのインドシナ難民キャンプで、とくにベトナムからのボートピープルと呼ばれる難民の人が大半を占めていました。 1975年、ベトナム・ラオス・カンボジア(総称…

行間を読む 20 <韓国産後調理院の時代背景を考える> 2014年8月4日追記あり

ぽむぽむさんの見学ツアーのおかげで、韓国の産褥施設が1997年に始まったものであることを知ることができました。 韓国の産後調理院が話題になって、なんとなく「韓国の古いよき文化」のように受け止めた人が日本でも多かったのではないかと思います。 まる…

産後ケアとは何か 22 <ぽむぽむさんの韓国産後院見学ツアー記事のご紹介>

いつもコメントをくださるぽむぽむさんが、なんと韓国の産後院(産後調理院)見学ツアーに参加されたとのことで、ブログに報告を書かれています。 「韓国産後見学@1歳3ヶ月カテゴリ記事一覧」 ぽむぽむさんが初めてコメントくださったのは、「産後ケアと…

助産師と自然療法そして「お手当て」48 <「正しい寝かせ方で姿勢のきれいな赤ちゃんに」>

前回の記事で2000年に米国小児科学科が出した赤ちゃんの寝かせ方についての勧告を紹介しましたが、その中の「硬めのマット」に「シーツ以外は置かない」というのは、日本でも自明と受け止められていたことが改めて文章になった程度のことだと思います。 …