出かける前に地図で走水のあたりを眺めていたら、海岸線に「ヴェルニーの水」がありました。
「ヴェルニー」、たしか横須賀中央駅の前の軍艦を眺められる公園が同じ名前だったと思い出しました。
バスで走水まで向かう途中、海沿いに公園になにか説明板があるのが見えました。
海のそば、しかも2月ですからいつ冷たい海風が強くなるかわかりません。ところがこの日は本当に穏やかな天候でしたから、走水からこの「ヴェルニーの水」そして馬堀海岸をたどって歩けるところまで歩くことにしてみました。
走水の北側の湾に飛び出したようなところへぐいと上り坂になり、また降ると小さな入江があってすぐそばに小学校がありました。海を眺め、波の音を聞きながら授業を受けられるなんてなんてすてきな学校でしょう。
海岸線はそこで行き止まりで、また「海抜23メートル」まで坂道を上り反対側の海岸線へと石段を下ると漁港と集落や水産加工場があり、その先に広い公園のような場所がありました。
わずかの距離ですが、膝がガクガクです。
*走水水源地公園*
広い駐車場があり、そのすみに水汲み場がありました。
横須賀水道発祥の水 〜ヴェルニーの水〜 由来
この水は、走水の湧水を利用した水道水です。
フランス人フランソワ・レオンス・ヴェルニーが、明治9年(1876年)横須賀造船所の用水として送水しました。
また、明治41年(1908年)12月、市営水道として、小川町、大滝町、若松町の人々に給水されました。
給水開始100周年を記念して、ご利用いただけるようになりました。
浄水施設と砂浜の間の細い道を抜けると公園が続いていて、また案内板がありました。
走水水源地
明治九年(一八七六)走水の湧水を横須賀造船所に通水したのが始まりで、市内唯一の自己水源地です。明治三五年(一九〇二)に完成した煉瓦造貯水池と、その後に造られた国内で初期の鉄筋コンクリート造の浄水地は、いずれも国登録有形文化財となっています。
昔から走水の湧水は水量が豊富で、ミネラルを含んで美味しく水温は十七度とほぼ一定し腐らないと評判で外国船にも好評でした。
湧水は涸れたという記録はなく、水量は一日約二〇〇〇㎥あります。現在は市の非常用の水源地となっています。
また水源地は災害時の応急給水拠点としての機能を備えるとともに桜の名所ともなっています。
大津行政センター市民協働事業・大津探訪くらぶ
「走水」は浦賀水道の流れと関係した名前なのかと想像していたのですが、もしかしたら「湧水」が由来でしょうか。
「腐らない水」を確保することは海運には重要だった歴史もひっそりと過去のものになってしまった、それほど何もかも驚異的に変化する時代でした。
海に向かってベンチがありました。
目の前の浦賀水道を、ひっきりなしに船が通過していきます。
沖を航行していた色とりどりのコンテナを満載した船が浦賀水道へ入るのにしだいに近づいてきました。
遠くでは大きいなあぐらいだったのが、近づくととてつもない大きさです。
雨にも風にも波にも動じることなく海を渡っていく風景も、思えばわずか1世紀ぐらいでしょうか。
海のそばでの仕事をしてみたかったなあと思いながら、飽きもせず船を眺めていました。
まあ海の仕事も、そして世の中のさまざまな仕事も世の中のため人のために、地道に支えているのは同じですね。
誰もいない海岸線を独り占めしてしばらく眺めました。
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